東京の最低気温7.6℃、昨年より10℃ほど冷え込む11月10日より宮台さんの個展「イヴの火葬」が始まり、11月15日の温かい秋空の日に終了しました。
①’Eden’ (2016/映像/カラー/16分)
②’Cremations’ (2016/焼かれた時計、灰になったりんご)
③’Time & Being-ver.Eve-‘ (2016/写真、時計部品、ガラス、木)
「イヴは女性の祖であり、私たち女性の中にイヴの血が流れているとして・・・・私はイヴを火葬してみたいと思った」宮台さんの文章より
一つのテーマに3作品が設置されました。
壁に直接映し出された映像作品’Eden’。
踊る炎、焼かれ徐々に灰に近づくリンゴ。
鑑賞者は作品に近づくと背面からのプロジェクターの光により自身の影が映像の中まで伸び、燃える作品の一部となることができます。
灰になったリンゴと時を刻まなくなった時計。
この時計、もともと使える見込みがないほど壊れ、機能を失ったジャンク品。
時計の姿を完全に奪わず、周辺の<肉>を焼く。
それを火葬という言葉で表現された作品。
焼かれる前から動かなくなっていた時計たちを「壊れた時計」という過去から解放するかのように焼いたようにも捉えられる…
奥の間にある’Time & Being-ver.Eve-‘はこの展示のメインともいえる作品。
再生の部屋、と宮台さんが呼ぶこの空間には16人の女性のポートレートが並んでいます。
女性の腕には’Cremations’で使われた火葬される前のジャンク時計。
彼女たちの誕生時刻にセットしてもらい、撮影後、焼く。それを彼女たちの過去の時間として火葬した、と宮台さんは表現されています。
一方のポートレートには時計の部分に新しいムーブメントを取り付け、焼く前にセットされた誕生時刻に針を合わせてから起動させる。
ここに並ぶポートレートの時計たちは火葬によって生まれ変わり、新しい時を、それぞれの時間で刻んでいる、という作品。
「イヴの火葬」という展示タイトルに身構えるところもありましたが
‘Eden’と’Cremations’を順に観て、最後にポートレートの中でリズムよく動く秒針を目にした時に宮台さんの意図、この展示の本当のテーマが「再生」であることに気が付き胸を打たれました。
良い意味での裏切りが気持ち良く、見た後少し心が生まれ変わる素敵な作品展示でした。
今後の宮台さんの活動がとても気になります。